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ピンク・フラミンゴ・クロッキーズ

表現規制やセクマイ、サブカルなどについて適当に書いています。ゆるい素描と備忘録。
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アニメ『TIGER&BUNNY』におけるステレオタイプ

タイバニの人種ステレオタイプについて、虎徹とバーナビー、オリエンタルタウンとシュテルンビルトの対比から考察しました。

まだまだ再考・改善の余地あり。不十分なレポートです。メインアイデアをもっと発展させたい。



1.序論
 アニメ『TIGER&BUNNY』は、サンライズが制作、2011年にUstreamと地上波で放送を行ったアニメである。私はこの作品の中で、二人の主人公が対照的に描かれていることに着目し、それが人種のステレオタイプに基づいていることに興味を持った。この作品の中で、日本とアメリカのイメージが象徴的に描かれていることをステレオタイプのイメージから考察し、このアニメが日本のイメージの再提示を行っているという結論を導く。

2.本論
2.1.アニメ『TIGER&BUNNY』の概要

 アニメ『TIGER&BUNNY』のあらすじは、公式サイトによると「都市シュテルンビルトは、様々な人種、民族、そして『NEXT』と呼ばれる特殊能力者が共存し、その『NEXT』能力を使って街の平和を守る『スーパーヒーロー』が存在する町。ヒーローたちは、スポンサーロゴを背負って、企業のイメージアップとヒーローポイントを獲得するため、事件解決や人命救助に奔走している。その活躍の模様は人気番組『HERO TV』で中継されており、各々”キング・オブ・ヒーロー”を目指し、年間ランキングを争っている。ヒーローの一人、ワイルドタイガー(鏑木・T・虎徹)は、ヒーローとしてピークの過ぎたベテランヒーロー。上司の命令には従わなければならないものの、市民の安全のためには器物破損も厭わない、我が道を突き進むタイプ。彼には、いつしか『正義の壊し屋』という有難くない称号が…。そんな虎徹が、突然新人ヒーローのバーナビー・ブルックスJr.とコンビを組むことに。仕事も私生活も崖っぷちのベテラン、ワイルドタイガーと有能だが扱いにくい新人、バーナビー・ブルックスJr.が対立しながらも悪に立ち向かう――痛快バディヒーローアクション!」と書かれている。
 虎徹はバーナビーに先輩としてアドバイスしようとするが、バーナビーはそんな虎徹のことを「おじさん」と呼び、冷たくあしらう。この二人の主人公は、衝突しながら事件を解決し、その中でヒーロー仲間との交流も生まれるが、突如現れた犯罪者に死の制裁を加えるダークヒーロー・ルナティックが現れたことによりバーナビーがヒーローになった理由が明らかになる。バーナビーは4歳のクリスマスに両親を何者かに殺され、家に放火されたという凄惨な過去があった。燃え盛る家の中で犯人を目撃したバーナビーは、犯人の右手の甲に尾を噛む蛇のマークのタトゥーがあったことを覚えていた。それを手がかりに両親の敵を探して歩く中で、そのマークが「ウロボロス」という組織のものであることを突き止める。それからバーナビーは、ウロボロスという謎の組織を探し出し、両親の敵を討つために本名と素顔を明らかにしてヒーロー活動を始めたのであった。それを知った虎徹はバーナビーと協力し、ルナティックに立ち向かう。その中で、二人には信頼関係が芽生えていく。そしてとうとう両親の敵である凶悪犯ジェイク・マルチネスの存在を突き止めたが、そのときジェイクの属する犯罪者組織であった「ウロボロス」がシュテルンビルトでテロを起こし、全市民を人質に取った。ジェイクとの戦いの中で、虎徹は自らの不用意な行動によりバーナビーの信頼を失ってしまう。ジェイクと戦い重症を負った虎徹だったが、ジェイク攻略のヒントを思いつき、怪我を押して苦戦するバーナビーにヒントを伝え、結果バーナビーはジェイクに勝利した。そして二人はより強い信頼関係で結ばれるようになる。
 復讐を終えたバーナビーはヒーローという仕事に意義を見出し、他のヒーローとも友好的な関係を築いていく。一方、虎徹はNEXT能力の減退が始まり、自らのヒーロー業について悩む。帰省した故郷のオリエンタルタウンの出来事をきっかけに、ヒーローを引退することを決意し、娘と一緒に暮らすことを決める。しかし虎徹がシュテルンビルトに戻ると、衝撃的な事実が明らかとなる。テロ事件で生き残ったジェイクの仲間・クリームによると、ジェイクはバーナビーの両親を殺していないことがわかった。この事実によりバーナビーには記憶の混濁が起こり、精神的に衰弱してしまう。一方オリエンタルタウンで暮らす虎徹の娘にNEXT能力が発現してしまう。二つのことに板ばさみになった虎徹は、バーナビーの問題が解決するまでシュテルンビルトに残ると決めるが、ヒーロー業をやめることがバーナビーにばれてしまい、それが原因で二人は仲たがいしてしまう。その後バーナビーは両親を殺した真犯人で全ての黒幕である後見人・マーベリックに記憶を書き換えられてしまう。マーベリックは虎徹とバーナビーに関係する人々の記憶を書き換えると、バーナビーの家政婦であったサマンサを口封じのために殺害し、虎徹をその犯人に仕立てあげてしまう。虎徹は記憶を失ったヒーロー仲間たちに追われ、自分の代わりにワイルドタイガーを名乗る謎の人物がいることを知る。ヒーローたちに追い詰められたとき、虎徹の娘・楓のNEXT能力によって記憶が元に戻される。しかし遅れて現れたバーナビーは記憶解除に間に合わなかったため、虎徹は家政婦であるサマンサの復讐に燃えるバーナビーと一対一で対峙する。戦闘の間も虎徹のことを思い出さないバーナビーにあきらめかけた虎徹がバーナビーをいつも呼んでいるあだ名で「バニー」と呼んだことをきっかけに記憶を取り戻す。二人で真犯人マーベリックのところに向かうが、そこにはヒーローと楓が捕らえられてしまっていた。そして偽ワイルドタイガーの正体である、バーナビーの両親の研究仲間のロトワングが開発した高性能アンドロイド・H-01と戦わされてしまう。虎徹は捨て身の作戦でバーナビーとともにH-01を倒す。閉じ込められてロトワングの策略にはまってしまっていたヒーローたちも楓の機転で脱出に成功する。しかしマーベリックは大量のH-01を繰り出し、ヒーローたちが絶体絶命の危機に陥る。だが急にH-01が停止し、『HEROTV』プロデューサー・アニエスの作戦でマーベリックの悪事も暴かれてしまう。窮地に陥ったマーベリックは自らの記憶を消去してしまうが、これによって事件は終息に向かう。その後虎徹はNEXT能力の減退とヒーローからの引退を明らかにする。バーナビーもマーベリックの操り人形としてヒーローをしていた過去から、ヒーローを引退することを決意する。
 一年後、シュテルンビルトの平和のために活躍するヒーローたちの片隅で、2部ヒーローたちの中にワイルドタイガー・ワンミニットとして虎徹が復帰していた。そこに自分を守ろうとした両親の意図と自らの本当の願いに気づいたバーナビーも復帰する。
 『TIGER&BUNNY』は技術的な面でも内容的な面でも非常に斬新なアニメである。特に地上波放送と同時のインターネット生放送サイトであるUstreamでの配信や、作中のヒーローが着用するヒーロースーツに実在の企業がスポンサーとしてロゴを入れているプロダクト・プレイスメントの新しい形などが注目されることが多い。脚本は『魔王』『妖怪人間ベム』などのドラマ脚本で有名な西田征史が担当している。ストーリー面でも従来のアニメよりも心理描写に重点をおいており、ヒーロー物にも関わらずアクションよりも人間関係を重視するドラマ仕立てな内容となっている。 

2.2.虎徹とバーナビーの比較
『TIGER&BUNNY』の主人公は虎徹であるが、もう一人の主人公の位置を占めているのが虎徹のバディであるバーナビーである。この二人は作中でも対照的に描かれている。虎徹は、日系人であり、作品の中で父親として描かれていて、中年であり、田舎から出稼ぎに来ていて、三層構造のシュテルンビルトの最下層・ブロンズステージに住んでいる。一方バーナビーは白人で、虎徹に対して息子のようなイメージを形成し、若者で、資産家の一人息子で、最上階ゴールドステージに住んでいる。
 このように二人の特徴を比較すると、特に人種的なイメージが色濃く表れていると解釈できる部分がある。虎徹は日系人なので、出稼ぎに行くアジア人のイメージを喚起する。一方バーナビーは白人の上流階級のイメージである。虎徹の外見は直毛の黒髪で、肌の色は茶色で(日焼けによるものか?)目の色は茶色である。バーナビーは、縮毛の金髪で、肌の色は白く、目は緑色である。シュテルンビルトは、ゴールドステージ・シルバーステージ・ブロンズステージの三層からなり、上から順に生活のレベルが決まっている。バーナビーはゴールドステージの高級マンションに暮らしているが、虎徹は下町のような雰囲気のブロンズステージのメゾネット式アパートに住んでいる。このようなところから、虎徹とバーナビーの経済格差は見て取れる。また、内面的な面では、虎徹は市民を守るためなら器物損壊もいとわない熱血漢でかつお調子者であり、人情に厚く困っている人を見捨てられない性格である。市民の安全をを何よりも重視する真面目な性格でもある。また、ヒーロー仲間とも協調しようとし、調和を好む傾向にある。大雑把な面が目立つが、他人への気遣いにもあふれている。反面、能力減退など自身の問題は口を閉ざし独りで抱え込んでしまい、周囲との軋轢の原因にもなってしまう。一方バーナビーは合理的で冷静であり、ヒーロー活動も仕事と割り切ってもっとも効率的な方法をとることが多い。他人とのコミュニケーションを求めておらず、かたくなな性格であったため、周囲との軋轢も生まれていた。反面、両親の復讐を遂げるため、20年間犯人を追い続けるなど真面目でひたむきな面もある。また、子供には優しくするなど、本来は思いやりがある人物である。このように、二人の性格は対照的であり、一見ステレオタイプ的に見えるが、あえて目立つ面とは裏腹な要素を盛り込むことによって、キャラクターに深みを出している。
以上のように、虎徹とバーナビーは「貧乏な出稼ぎのアジア人」「裕福な白人」、「調和を重んじ自身のことは沈黙を守る」日本人のイメージ、「冷静で合理的」な欧米系のイメージを表しているのではないかと考えられる。

2.3.オリエンタルタウンとシュテルンビルトの比較
『TIGER&BUNNY』の舞台・シュテルンビルトは、三層構造の都市で、上からゴールドステージ・シルバーステージ・ブロンズステージである。シュテルンビルトのモデルはニューヨークのマンハッタン島であり、シンボルの自由の女神像がジャスティス・タワーという女神の建物に代わっている。シュテルンビルトは人種、民族が多様な多国籍都市である。一方、虎徹の故郷・オリエンタルタウンは、日本の典型的な田舎をイメージしていると思われる。作中で日本という国が登場することから、オリエンタルタウンはシュテルンビルト近郊の日系移民が住む日本人町だということが推察される。一方で、オリエンタルタウンの住民はみな典型的な日本人の外見をしていて、楓の通う小学校でも習字が飾られている。家屋も日本の農家風の家屋である。通常、外国人によって移民の町が築かれていく場合、多少なりとも本国と文化は変化していくはずである。しかし、オリエンタルタウンではそのような形跡が一切見られない。これは、視聴者の故郷のイメージと合致させ、作品により入り込めるようにするためのものであると推測されるが、一方で、製作者の意図はどうあれ、オリエンタルタウンという街が、故郷としての日本の原風景のイメージを書き起こしていることは明白である。オリエンタルタウンという移民の町が、ある種日本そのものよりも日本『らしい』イメージを拡大し、再提示しているのであると考えられる。
 また、オリエンタルタウンとシュテルンビルトという対比により、多種多様でシビアなランク付けがされている都市、自らのアイデンティティのよりどころとなる地方という構図が出来上がる。これによって、出稼ぎに行く日本人としての虎徹のイメージがより強調されると考えられる。

3.結論
 『TIGER&BUNNY』において、二人の主人公が対照的に描かれていることが、日本人と欧米人のステレオタイプに基づいていることがわかった。この二人のイメージは日本とアメリカのイメージの象徴として描かれ、ステレオタイプ的なキャラクターであることをむしろ前面に押し出すことによって、ステレオタイプではない部分がより際立つようにしていると考えられる。ステレオタイプを利用することより対照的なキャラクター造形が可能となり、より人間関係ドラマが作りやすくなる。また、ステレオタイプは時として説明や理解の助けになることがある。このように、あえてステレオタイプという土台を流用することにより、土台の上に追加された部分、たとえばバーナビーが子供にやさしい面など、の説明に時間を割くことができる。
 虎徹の日本人としてのイメージは、この作品が中高年のサラリーマン男性向けにつくられたことから、日本人の中年男性が感情移入できるようなキャラクター作りがされている。虎徹を日系人として多種多様な人種の中に置くことで、彼の日系人としてのアイデンティティがより際立ち、視聴者は虎徹を通して日本人のアイデンティティを再確認することになると考えている。虎徹の、集団を重んじながら自らのことには口を閉ざす、経験で培われた勘を頼りに精神力を重視する、といった日本人のステレオタイプは、多種多様な人種が集まるシュテルンビルト、また欧米人のイメージとしてのバーナビーとの対比を通してより強調される。
 また、オリエンタルタウンとシュテルンビルトの比較において、オリエンタルタウンが日本の地方、故郷であり自らのアイデンティティのよりどころとなる日本のイメージを再提示している。また、出稼ぎに出る日本人のイメージも対照的な都市と地方の構図から強調されると考えられる。

4.参考文献
「TIGER&BUNNY」公式サイト
http://www.tigerandbunny.net/tv/index.html(12月2日閲覧)
鬼澤未妃編「TIGER&BUNNY KING OF WORKS」バンダイビジュアル株式会社,2012年
『劇場版TIGER&BUNNY -The Beginning- まだまだ終わらない』「アニメージュ」2012年11月号,徳間書店
ニュータイプ編「TIGER&BUNNY公式ガイドブック HERO gossips」角川書店,2011年

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